第25回関西大会 日本再生 こころと食生活 Ⅳ

               「日本再生―こころと食生活・パートⅣ―」
                  ―食・教育・健康対策の実際―
           第25回研究講演会(一般公開)NPO日本綜合医学会関西大会
                      平成24年7月1日(日)
                  開場09:45開演10:00閉会17:05
       会場 大阪市中央公会堂大ホール主催NPO法人日本綜合医学会関西部会
    関西部会会長・学会頭 福原宏一 大会運営委員長 小山 登 大会事務局長 大杉幸毅
関西大会プログラム
開会10:00 開会宣言 小山 登 10:05 学会頭挨拶 福原宏一
発表1 「腰痛と膝痛は自分で治せる」 10:15~10:55                      大杉 幸毅 先生
本学会理事。血液循環療法協会会長。血液循環療法専門学院・大杉治療院院長。元農林技官。手技療法一筋30年、療法の指導を通し「思いやりといたわり」の精神を広め、病人の少ない癒しの社会を目指し診療・療法指導と健康運動に活躍中。
著書:「シコリを解けば病気が治る」「血液循環健康法」「指で癒す・血液循環療法入門」「血液循環療法上達の秘訣」DVD「あなたも出来る手技・血液循環療法」「指1本で病気が治る押圧メソッド」「ひざの激痛が指1本で消えた!驚異のひざ押圧」など多数。
発表2 「食養と千島学説―喰い改めれば病気は治る」10:55~11:35               仁志 天映 先生
食養家。千島学説研究会代表。元小学校教員。小学3年生のとき結核を患う。21歳のとき椎間板ヘルニア、以後痔疾、肝・腎臓病、糖尿病を患う。現代医療に見切りをつけ、断食、ヨガ、気功、太極拳、神道、心身統一道、食養を学ぶなかで病を克服。横浜にて自然治癒力蘇生塾。難病・奇病相談所を開設。
本部ご挨拶 11:35~11:45                                   理事長 岩崎輝明 

昼休み 11:45~12:15
癒しのミニコンサート 12:15~12:45                                  柴田 野苺 さん
音大声楽科卒業。25年前に脱原発運動に関わってから子供たちに安心安全の農産物を食べさせたくて和歌山県串本に移住し自給自足をめざす現在、地域でコンサート活動をしながら自然農法で野菜作りをしている。
講演1「食養生で健康百寿をめざそう」 12:45~13:40                          渡邊 昌 先生
NPO日本綜合医学会会長。生命科学振興会理事長。慶応大学医学部卒。米国ガン研究所、国立がんセンター研究所疫学部長、国立健康・栄養研究所理事長、東京農業大学教授を歴任。内閣府食育推進評価専門委員会座長。厚生科学審議会委員。「医と食」編集長。
著書:「食事でガンは防げる」「糖尿病は薬なしで治せる」「薬なし食事と運動で糖尿病を治す」「栄養学原論」など多数。
講演2 「生活習慣病どう向き合うかー正しい対処とそれを阻むもの」13:40~14:35                酒向 猛 先生
1950年生まれ。岐阜県恵那市出身 1976年、順天堂大学医学部卒業1986年、名古屋大学大学院医学研究科卒業、岐阜県立多治見病院へ赴任
1988年、医学博士。岐阜県立多治見病院、外科部長兼中央手術部部長を経て2008年、セントマーガレット病院統合医療科部長 現在、島村トータル・ケア・クリニック勤務。趣味:空手二段、神社仏閣巡り。著書:「ガンを克服するために」「隠された造血の秘密」
講演3 「人と稲―病害虫は血が汚れた人、弱り切った稲しか攻撃しない」14:35~15:30             片野 学 先生
1948年東京生まれ。東京大学農学部卒業。現在、東海大学農学部応用植物科学科作物学研究室教授。1980年自然農法、1981年に玄米食に出合い、「農業―食―健康」の重要性に気付く。以降、玄米菜食の実践と自然農法の実践と研究にいそしむ。好きな言葉は「和顔愛言」。生食協会理事長。
休憩   15:30~15:45
 大討論会 「日本再生への道」 -どうすれば健康社会は実現するか― 15:45~17:00
パネラー   柴田野苺・仁志天映・酒向 猛・渡邊 昌の各先生方                 コーディネ―ター  小山 登
閉会の挨拶   17:00~17:05                                  関西部会事務局 森 美智代

 

 

 

 

 

 

パネルディスカッション

大会抄録集より

 

                   介護予防のために

 

                               介護老人保健施設ケア・スポット梅津 施設長

                                                                                                          日本綜合医学会関西部会会長 医学博士 福原 宏一

   私は介護老人保健施設(老健)の医者をしており、毎日百人近くの老人を診ています。入所者の大多数は多少なりとも認知症を有しています。また足腰の故障のためまともに歩けない人も多数います。私達は年を取っても人間としての特質である明晰な頭脳を保ち、直立二足歩行を続け、死ぬ直前まで介護のお世話にならずにいたいものです。

 

 日本人の平均寿命は男女とも世界一か二位ですが、高齢者の増加にともなって認知症患者も増加し、現在200万人以上と推定されています。認知症の種類はアルツハイマー病が50%、脳血管性が30%、レビー小体病が10%、その他が10%とされています。

 

 アルツハイマー病は脳の神経細胞が変性壊死を来す疾患です。現在4種類の治療薬がありますが、いずれも病気の進行を遅らすことはできますが、治すことはできず、いずれ死に至ります。人類と同じ霊長類に属するアカケザルを自由摂食群と、その70%の食事に制限した群に分けて30年間飼育した研究では、少食群のほうが自由摂食群より歳を取っても毛並みが良く、CTで脳の委縮が少ないという結果でした。少食に病なし、認知症にもなりにくいということでしょう。

 

 アルツハイマー病では酸化ストレスがかかっていることが判明しています。活性酸素を消去する働きのあるビタミンACEを多量に含む人参ジュースや青汁をアルツハイマー病の治療薬として試してみることを提案いたします。人参ジュース1合3回、青汁1合2回飲用し、食事もできるだけ玄米菜食の少食にするのです。

 

 脳血管性認知症の予防は生活習慣病の予防に行きつきます。即ち節酒、禁煙、薄味の和食、適度な運動です。現在日本人は若者を中心に非常に多くの人が肉食過多に陥っています。そのため糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、癌などが増加しています。肉食が関係する癌は大腸癌、乳癌、前立腺癌などです。脳血管性認知症ばかりでなく、これらすべての疾患を予防するために、肉食を減らして魚介類と大豆を蛋白を主体とした関西風の伝統的な和食に戻りましょう。そしてこの食事はアトピー、花粉症、喘息などのアレルギーを防ぐものでもあります。まず和食を復活させ、夜食、間食を減らして腹七分目にすれば、ほとんどの生活習慣病を予防して健やかに老いることができます。

 

 

 

 

           第25回関西大会開催にあたり

 

                               大会運営委員長 全国健康むら21ネット代表 小山 登

 

関西大会も今年第25回を迎えることが出来ました。これも本日ご来場頂いている皆様方、並びに日頃、この大会を支えて頂いております「関西部会」の方々、「全国健康むら21ネット」の皆様方のご支援・ご協力のお蔭と感謝致します。

 

 さて、『日本再生と称して、3回にわたり実施いたして参りました』この間、2011年3月11日に「東日本大震災」と津波により、尊い2万名にも及ぶ犠牲者と行方不明の実情を目の当たりに致しました。又、福島原発は事故のため大量の放射能を排出し、世界の人達に恐怖と不安を助長させました。その後、定期点検のための停止が重なって、2012年5月5日北海道の泊まり原発が運転を停止し、国内の50余の原発は全て停止しました。但し、今日も明日も老朽化は進んでおります。停止したからと言って決して安全ではありません。「命あるものは必ず絶える。形あるものは必ず壊れる」事は古来よりの理であります。にも関わらず「再開を容認する」「安全性が確保されたから再稼動だ」なんて事も言われている。本当の安全性は確保されているのでしょうか。再稼動の前に、全世界に向けて「国家」が責任を持ってことに当ると宣言する事なしに、軽々に「再稼動」と言ってほしくない。1総理が、1官僚が、1電力会社がなにの責任を取れるのか。

 

 日本から流出した瓦礫が約1年を経て、アラスカ・カナダ・アメリカに漂着している。その総量約480万トンとも発表されています。この責任はどうするのか。世界に多大な恐怖と迷惑をかけて、日本は、国家はいかに処すのか、対応するのか。等々課題・問題は山積しています。これに応えないで『再稼動』はあまりにも拙速過ぎるでしょう。

 

 更に、医療の世界に目を向けると華々しく、検査とか治療の技術・設備が発展・高度化して参りました。確かに対処療法的な分野は華々しいものがありますが、極端に言えば「手術は成功した。しかし患者は亡くなった」という経緯・結果がもたらせています。前述のごとく「命あるものは必ず絶える」のも道理(理)だし、一概に現代医学・科学が間違っているとは言えません。但し対処療法に対して根本療法をもっともっと活用したいものです。古来『食は命也』と言われてきましたが。食の見直し、「食育基本法」が平成17年に制定され、全国各地で「食育」の取組が始まっています。日本綜合医学会の歴史・経過を追求すれば、今何が必要で、何が求められているかは明らかです。「ホリスティックメヂスン」「東西の医学の統合」に対する期待感がつのりつつあります。当学会の渡邊昌会長は、統合医学の大学院大学創設のために東奔西走されております。是非にも実現してほしいと祈念致します。この医療環境の中で、小生が所属する財団法人生活環境問題研究所(健康の森)では、千島喜久男先生のご指導による『気血動の断食教室』を開催致しております。詳しくは、ホームページもしくわ電話・メールでお問合せ下さい。

 

 

 

 

 

 

       第25回日本綜合医学会関西大会の開催に当たって

                          日本綜合医学会理事長   岩崎 輝明

 

 

 

  第25回日本綜合医学会関西大会の開催にあたりご挨拶申し上げます。

   現在、我が国では47,756人の100歳長寿者がいます。100歳長寿者の代表的なお一人に聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生がおられます。いまだお元気で、現役として診察に、講演にとご活躍されていらっしゃいます。このような明治・大正生まれの方々の長命なお姿は、今や日本の伝統食がもたらすものとして、世界の注目を集めているようですし、外国からやってくる観光客の第一の目的は、日本食を楽しむことだそうです。そして我が国では、この穀物と菜食を主とする伝統食をユネスコの世界遺産として登録すべく 申請を決めたとのことです。

 しかし、明治・大正生まれの元氣な長寿者がいる半面、寝たきり老人や生活習慣病の人々も少なくありません。一例を挙げますと、がん、心臓病、脳卒中の三大生活習慣病をはじめ、高血圧、糖尿病、高脂血症などが多くの国民に蔓延しているのが現状です。自分自身の生活習慣が招いた結果でもありますので、ただ単に現代医療が行う対症療法だけでは解決がつかないのです。これらの主たる原因である食事の改善などで、自らの健康を管理し、自立しなければ、何より大切な健康の維持、改善はできないのです。

  現在、日本の税収は年間、約42兆円くらいですが、医療費は介護費を含めると約45兆円(推計)にも上り、国家の税収を上回る程となっています。国の将来を考え、今こそ一人ひとりが正しい食生活や健康法を学び、実践し、自らの健康は自分で守ってほしいと願うものです。

  当会では「一家に一人の食医を」と提唱し、食養学院を開設し、ご好評をいただいておりますので、皆様方にも是非、ご入会のうえ学ばれることをお勧めし、ご挨拶と致します。

 

 

 

 

          『食養と千島学説-喰い改めれば病気は治る』     

                            千島学説研究会 代表 仁志 天映

 

 

 

1、 千島学説とは

  千島学説とは、元岐阜大学教授千島喜久男博士の唱えた生物学あり、膨大な学問体系です。また、生物学から導き出された生命科学、生命哲学です。千島学説は8大原理を基底にして成り立っていますが、今回は、第1原理とガン。第三原理とインフルエンザ(感染症)とを論じたいと思います。

  千島学説は、既成の生物学や医学理論とは、悉く異なるため、生物学会や医学会からは、まともな反論・批判が無いまま、無視され、異端視されました。

  しかし、ほんの一部ですが、自然療法や自然治癒力こそ病気癒しの道と説く医師や、東洋医学を理論的基礎にしている鍼灸師や手技療法の方々。とりわけ、無双原理(陰陽の原理)を携え、世界を駆け巡ったマクロビオティックの創始者・桜沢如一先生や世界救世教の創始者であり、自然農法を確立した岡田茂吉先生は、千島学説のよき理解者でした。千島先生は、皆さんのこの日本綜合医学会でも三回、学会頭を任されました。

  では、まず、ガン問題を論じます。現代ガン医療は長足の進歩を遂げているとガン専門医は言いますが、ガンによる死亡者は増加する一方で、昨年(平成23年度)は35万人を数えるに至りました。そもそもガンは、恐ろしい病気であり、死病なのでしょうか。

  現代医学は、通常の細胞にガン細胞が発生すると、それが分裂を重ねて肥大化し、最後には患者を死に至らしめると考えています。従って、ガン治療はこの恐るべきガン腫を手術により除去することに始まり、毒ガスを起源に持つ、強力な化学薬剤である抗癌剤により殺すか、または、あれほど恐れられている放射線を照射し焼き殺すというのです。これが現代医学によるガン三大療法であり、今日の標準療法となっています。

  そもそも、現代医療は病気の原因、本体を曖昧にしたまま、病的部分のみを観て、患部を切除するか、化学薬剤を使って細菌を殺すという療法なのです。現代医療が対症療法(一時凌ぎの療法)といわれるには、そういう療法だからです。

  では、千島学説はどう考えているか。8大原理の第一原理は、赤血球分化説(赤血球はすべての細胞の母体である)というものですが、この説は、古来言われている、『血は肉となり骨となる』ということです。赤血球が健康であれば、白血球を経てすべての体細胞になるというものです。赤血球が病的であれば、ガン細胞や凡ての腫瘍の細胞になるのです。ガンも含め、あらゆる病気の原因は血液が汚れ、滞りです。従って、ガンは血液の汚れから生ずるのですから、きれいな血液を造り、循環させれば、自然とガン腫が溶けて、体外に排出されます。

 更に、病気とは何かを考えれば、殆んどの病気は炎症を伴います。肺炎、気管支炎、肝炎、腎炎、膀胱炎、等々。

  ガンも慢性的な炎症です。言い変えれば、身体全体の汚れた血液を一箇所に集めて排泄しようとする生体の生命維持機能の表れであり、いわば汚れた血液の浄化装置です。少々、治りの遅いオデキと思えばよいのです。ですから、千島学説では、どの病気も血液を浄化すれば治癒できると考えます。ガンも、『氣(心、精神)・血()・動(新陳代謝)の不調和』より起こりますから、喰い改めを含め日常生活を立て直せばよいのです。血液をきれいにすればガンも治癒できるのですが、現代ガン療法は、治癒とは凡そ正反対のことをし、より重症化し、死に至らしめているのです。この治るはずのない医療がガン三大療法として、未だに標準療法として公認されているのです。これがガン治療の現実です。手術は致し方ない場合もありますが、ガンを恐ろしいもの死病にしたのは現代ガン医療の三大療法です。

  次に、インフルエンザ(新型を含め)を考えて見ましょう。

  感染症研究者(専門家)は、インフルエンザは恐い感染症であり、誰もが防ぎようがなく、タミフルを飲むか、ワクチンで予防するしかないと語ります。インフルエンザが発症すると、感染源はどこか、経路はと躍起になります。

  これは既成の医学理論は、『細菌・ウイルスの自然発生性』を認めないことによるからです。千島学説の8大原理の第三原理『細菌・ウイルスの自然発生性説』(親なしで発生する)で説明できるのです。これは、皆さんもよく知っている『ムシ()が湧く、ウジ()が湧く』ということです。つまり、細胞や身体の組織が病的になり、死即ち腐敗に傾けば、そこに細菌・ウイルスが自然発生(湧く)するのです。インフルエンザも腸内で腐敗しやすい肉などの過剰摂取により、細胞の基本小体に過ぎないウイルスが病的ウイルスになり、血管内を駆け巡るのです。インフルエンザは身体内に蓄積された老廃物・腐敗物、いわば毒素を排泄しようと霊妙なる身体は、高熱を出し毒素を発汗により排泄し、正常なる身体に整えるための症状で、実に有り難いものです。インフルエンザはウイルスが原因ではなく、体内の血液が汚れた結果です。現代医学は、この原因と結果を取り違えて、細菌病原因説に立っていますが、このことこそ、現代医療が病気を治癒できない根本的な過ちです。

  インフルエンザは、過食による胃の機能の不正常によっても起こります。ですから、食欲がなくなるのです。食欲が出るまで食べるなということです。胃を休め、温かくし、寝て発汗させれば治癒します。また、インフルエンザに感染する人としない人がいるのは、そのときの体質傾向によります。胃が健全で、体内に老廃物・不要物の少ない人は感染することはありません。只、インフルエンザは、高熱や、節々が痛く、苦しいので、症状を緩和し、経過させる手当て法については、またの機会にお話したいと思います。

  気をつけて欲しいのは、化学薬剤で解熱してはならないのです。解熱剤こそ、脳症を引き起こす原因です。また、ワクチン(予防接種)で感染症が予防できたことなど一度たりともありません。ワクチン神話がいまだに大手を振っていますが、ワクチンの歴史、接種禍裁判、ワクチンの成分を調べれば、恐ろしいほどの毒物であることがわかります。

  生命哲学・生命科学に関しては専門家の手から、私たち国民・大衆の手に取りも戻さなければなりません。このこと千島学研の大きな目的の一つです。ともに学びましょう。

 

 

生活習慣病にどう向き合うか 正しい対処とそれを阻むもの

             島村トータル・ケア・クリニック 副院長 医学博士 酒向 猛

 

 

 

高血圧、糖尿病、脂質異常症、癌などは生活習慣病といわれています。生活習慣病の原因は文字通り生活習慣であり、治療としては生活習慣の改善が優先されることになります。ところが現実の医療現場ではそのようにはなっていません。何故でしょうか?

 

まず、現代の医療は薬物療法と手術療法に偏っています。このため医師の多くが治療法として食事や運動などの生活習慣の改善を指導することなく、薬物療法や手術療法を行ってしまうという現実があります。また医師の専門化が進んだため、医師の視野が極めて狭くなっています。たとえば生活習慣病の代表とされる糖尿病においては約2200万人の患者に対して、糖尿病専門医はたった4200人しかいません。専門医のいる大病院では、患者に対して栄養士が食事や運動の指導を行っていますが、多くの患者は小さな診療所で診断され治療を受けています。このような診療所では栄養士が勤務していることはほとんどなく、いきなり薬物の投与が行われることがほとんどです。

 

また高血圧症の治療においては、ほとんどの医師が少数の専門家が作製したガイドラインに沿って治療しています。このガイドラインよれば最高血圧140以上、最低血圧90以上が高血圧症と診断され、日本人の約4000万人が高血圧症患者と診断されるそうです。糖尿病にしても高血圧症にしても薬物投与となれば患者は一生の薬を飲み続けることになり、製薬会社の利益は膨大なものになります。このためガイドライン作成に裏には、製薬会社と御用学者の癒着があるのではないかと噂されています。

 

このような薬の乱用を招く原因は、なにも医師や製薬会社のだけの責任だけではありません。日本人は世界でも有数な薬好きな国民で、医師に食事や運動の指導より薬を要求する傾向があります。私が勤務するクリニックでは管理栄養士が食事指導をいています。しかし、糖尿病や高血圧症の患者に食事指導を勧めても多くの患者が忙しいという理由で受けないことが多く、また食事指導を受けても真面目に実行する患者さんは多くありません。

 

結局は、面倒な食事節制や運動を行うより薬を飲む方が楽であるとう患者と、儲けにならず時間のかかる食事指導より薬剤投与で長期に患者を通院させた方が利益になるという医師との、もたれ合いの構造が生活習慣病の正しい治療を阻んでいるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 渡邉 昌 会長

 

日本再生―こころと食生活―食養生で健康百寿をめざそう

 

                          日本綜合医学会会長 医学博士 渡邊昌

 

 

 

疫学が疫をまぬがれる、というための学問であるとしたら、21世紀にむかって人間社会にどのような問題が生じ、どのような予防措置を考えねばならないか、という観点が必要と思われる。地球上に、生物学的均衡をこわして増えすぎた人類が引き起こす災厄は、環境破壊、食糧問題等を生じさせている。環境問題はオゾン層破壊による紫外線増加、炭酸ガス排出による地球温暖化、化学物質による大気汚染や河川、海洋汚染、化学肥料の使いすぎによる土壌劣化など枚挙にいとまない。食料資源、水資源の不均等な配分は「金」の力によって行われている。この経済力という怪物はグローバルエコノミーの名のもとに、時には中小国家を破滅させるほどの力を発揮する。米国1国に局在して強化された軍事力も同様に国際政治を牛耳っている。

 

  このような殺伐として不安の多い世の中を生きていくためにはよほどしっかりとした思想が必要と思われるが、哲学も宗教も耐用年限がきれたように私達の指針とならなくなってきた。最近のいろいろな事件をみると、日本人のみならず世界的に「こころ」が破壊してきているのではないかと感じる。私は人の生き方をいろいろと考えるうちに、論理的に考えられる「意識界」とそれにつながる「無意識界」、さらにその下層の「本能(超意識界)」を統合するものとしての「こころ」を考えねば、自殺や論理的に説明のつけられない行動を説明できないという結論に達した。日本人のこころはどう出来てどう変遷してきたかということを考えているうちに時代をどんどん遡り、縄文人以来、結局は自分達の感情が受け入れやすいものしか受け入れてきてはいないのではないか、という気がしてきた。

 

 21世紀の日本は65歳以上の高齢者が4分の1以上を占めると予測され、健康な長寿社会の建設が課題となっている。老人医療費の急速な増加も予防医学へシフトせざるを得ない理由のひとつになっている。がん、循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病は、フリーラジカルによって引き起こされた傷が体内に蓄積することが原因の一つと考えられ、抗酸化食品摂取が長寿を達成できる道筋とされている。ここ20年間で、βカロテン、リコペン、アルカロイド、ポリフェノール、含硫化合物など600以上の物質が食品中から分離され、がん予防作用や循環器疾患の予防に役立っていることがわかり、「医食同源」に科学的根拠を与えた。これは栄養学にパラダイムシフトをもたらした。昔から言われる食薬同源が科学的に証明されたのである。

 

 病気の原因を分子レベルで追求できるようになり、いままで病理形態のみではわかりにくかった病気のメカニズムを明らかできるようになった。高血糖状態では代謝が変化し、活性酸素が増える状態になりやすい。糖尿病患者の血中では糖化タンパク質によるスーパーオキシドの活性酸素生成メカニズムが考えられており、糖尿病性網膜症や腎症の合併症の要因となる。動脈硬化など太い血管に起こる合併症や、網膜症、腎症など細い血管に現れる合併症の両方に、ラジカルは関係がしている。そのため抗酸化能をもつ食品を多く含む食事を取ることは合併症を防ぐ意味で有効と思われる。薬膳でよく摂られるナッツやゴボウ、蓮根、ナスなどは抗酸化能が強い。

 

 食事でがんを予防できるという可能性は国立がんセンター研究所疫学部長であった平山雄が全国6保健所管内の26万人の住民を17年間追跡し、具の多い味噌汁をたべている人達は胃がんが少ないことを発見し、それ以後もベジタリアンやセブンスデイアドベンテイストにがんが少ないことが証明されて脚光をあびるようになった。

 

 私は乳がんや子宮体がん、前立腺がんなどのホルモンが関係するがんは大豆食品を多く食べている人達に少ないことを発見し、大豆のイソフラボンが関係していることを発見した。動物実験でも大豆胚芽投与でドラマチックに乳がん発症をおさえた。移民研究によってもがんの頻度は移民先の食習慣に替わると増加するものが多く、日本の伝統食が多くのがんの発生を予防していたことが確かめられた。

 

 米国では1977年の「食習慣と心臓病」に関する『マクガバン報告』がだされ、19826月に『食物・栄養とガン』が発表され、国をあげてがん予防が取り組まれている。中国で食習慣とがんの関係を調べた疫学調査「チャイナ・プロジェクト」では「摂取する動物性食品の割合が少なければ少ないほど、健康効果が高い」ということが示された。日本では予防よりも先端治療が持て囃され、がん患者の死の質(Quality of Death)は決して高くない。

 

 人間の身体はわかっているようでまだまだわからないことが多い。がん細胞は自分の身体から生まれた鬼っ子とも言えるが、きびしいしつけでおとなしくなるのではなかろうか?このしつけの基本は食事であり、がんとの共存を目指す道である。玄米食、身土不二、一物全体食の正食(マクロビオテイック)はがんにならない体質をつくると思われるが、更にこまめに身体を動かす、タバコは吸わない、酒はほどほどに、といった生活によって腸内環境が整えられ、がんの芽を摘み取る免疫力も高めることができ、健康長寿への道を達成できる。

 

 

 

 

              腰痛、膝痛は自分で治せる   

                             血液循環療法協会会長 大杉幸毅

 

 

 

 超高齢化社会に突入し、国民一人一人が自己の健康管理をする事が重要な課題になってきた。当学会では、食養生により生活習慣病の予防と治療を訴え続けているが、食養生プラス自己押圧治療法により、簡便にいつでもどこでもできる健康法「血液循環療法」を紹介する。

 

 腰痛の89割は筋・筋膜性腰痛であり、骨格構造上の原因は少ない。

 

私は、二十歳の時に、腰痛と坐骨神経の症状に悩まされ、整形外科病院で診察の結果、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断され手術を受けた。その結果、坐骨神経痛の症状は消失したが、腰痛は治らなかった。その後、腰痛に悩まされて続けて来たが、「血液循環療法」を学んでから「痛みのあるところにはシコリがあるのではないか?」と考え、自分で痛みのある腰部を押圧してみると「圧痛性のあるシコリ」があることに気付いた。更にそのシコリを「血液循環療法」独自の押圧法で緩めると、長年悩まされ続けてきた腰痛がよくなったのである。「椎間板ヘルニアが再発したらどうしよう。」といつも不安を抱えながら生活していたが、「腰痛の原因が筋肉のコリ」であることが解ってから不安は解消し、登山、剣道、水泳、バイクなどのスポーツを楽しむことができるようになった。その後、12食の半断食にして体重を落とし、定期的にジョギングをやりだしてから腰痛は全くでなくなり、また肩こりに悩まされることもなくなった。体脂肪率は10%を切り、血圧は130/90台から100/60台になった。血液循環が良くなった証拠であろう。

 

腰痛に悩む方は多いが、その原因が筋肉のコリであり、自己押圧治療すればよくなることを紹介する。コリを作らないためには、質の良い血液を作る食養生と健全な循環を維持する事が重要である。

 

また、膝痛の原因も関節周囲の筋肉や靭帯のコリが原因であり、自己押圧治療で良くすることができる。整形外科を受診すれば、レントゲン検査で「軟骨のすり減り」が原因であると診断され、「ヒアルロン酸」を注射されるが、一向に良くなっていない。痛みの出ているコリを見つけて、血液の循環がよくなる押圧を行えば確実に痛みは取れ、完治する。このことからも膝痛の原因の大部分はシコリであることが明瞭である。

 

コツは痛みが出ているシコリ(患部)の血液循環を良くすること

 

シコリをただむやみに押圧するだけでは良くならない。シコリの部位の毛細血管網の循環がよくなる手技を行うのがコツである。誰でもちょっと練習すれば出来るようになる。

 

即効性があるので、上手にやればすぐに痛みが消える。下手に押圧すれば痛みは取れない。答えがすぐに出る。指先の力を抜いて、多少痛みがあっても気持ち良さが伴うくらいの圧度で押圧するのがコツである。痛いほど強く押圧したのではよくならない。逆に、後でシコリはさらに硬くなる。これは、体の防衛反応が働くためである。